カルデアのサンタクロース

クリスマスの前日、子供たちはサンタクロースが来るのを心待ちにしながら眠りにつく。それはこのカルデアでも例外ではない。

深夜、幼い姿の英霊達が眠る部屋の前で、大きな袋を抱えた影がひとつ。それは、サンタクロースのコスチュームに身を包んだ立香だった。

立香はそわそわと周りを確認しながら、そっと部屋に忍び込むと、子供たちが寝ているかを確認した。
ぐっすりと眠っている事がわかると安心したようにほっ、とため息をつく。

音をたてぬよう、背負った袋からプレゼントの包みを取り出して、枕の横に置いた。そうしてにっこりと微笑むとまた静かに静かに部屋を去っていった。

本当なら、夕食が終わった頃にでも渡せばよかったけれど、そうしなかったのは立香の小さな悪戯心だった。マイルームのベッドのなかで一人、朝、目が覚めたときの子供たちの顔を想像する。

ふふふ、と小さな笑みが出た。ワクワクする心が止まらない。サンタの名前を関する英霊達はカルデアには何人もいる。つまりサンタはたくさんいていいのだ。立香は満ち足りた気持ちで眠りについた。

***

翌朝、目が覚めるとマイルームがいつもとは違うような気配がする。

なんだろうと目を開けると、立香のまわりにはたくさんのプレゼントが置かれていた。

それぞれが色とりどりの包み紙とリボンで飾られていて、華やかで美しい。

声も出せずに驚いていると、マイルームの扉が開いてマシュがやって来る。

立香が経緯を話すと、マシュは悪戯っぽい笑みをしながら言った。

「きっと、先輩の所にサンタクロースが来たんでしょう。カルデアにはサンタはたくさんいますからね」